COLUMN
2023年12月12日
東京神楽坂歯科、院長の菊地です。
今回は歯の被せ物(クラウン)についてお話をします。
クラウン(crown)とは、歯科治療においては歯の被せ物を指します。歯の噛む部分が虫歯で大きく失われてしまった場合や欠けてしまった場合に適用する治療です。歯の噛む面を全て覆います。
目的は主として噛む機能の回復です。特に奥歯の噛む面が失われた場合、お食事が噛むことが困難になります。そのまま歯が失われた状況が続くと、噛めないことに加え歯の神経(歯髄)に痛みがでてくることや、噛み合わせが変化してしまう原因にもなります。歯を守るために、噛む面が虫歯で失われた、欠けてしまった場合は早めの治療が大切です。
以下の手順で治療を進めます。
1)はじめにレントゲンを撮影し、歯の状態を確認します
2)虫歯があればマイクロスコープ下に取り除きます
3)虫歯が大きい場合、歯髄近くまで歯を削るため、歯髄保護のための詰め物を行います。
4)クラウンを歯に被せるために、歯を全体的に削ります。(約1〜3mm)
5)型取りを行います。
6)仮歯を作製します。
7)完成したクラウンを歯に装着します。(型取りをしてから2~3週間後)
治療の期間については、おおよそ1ヶ月ほどかかります。セラミッククラウンの場合はより精密な処置を必要とするため1ヶ月以上歯をまもるための処置が必要になる場合が多いです。
銀で作成されているクラウンです。歯とクラウンの境目に隙間ができて、再度虫歯になってしまうことが多いです。
よく銀歯と呼ばれますが、厳密には銀を主成分としたクラウンです。健康保険内治療でメインで使用されております。
高強度のプラスチックのブロックから削り出して作成されるクラウンです。健康保険内での治療が可能です。また歯の色に近いクラウンです。
金が主成分のクラウンです。白金を加えたPGAというクラウンがよく用いられます。見た目という点は劣ります。しかし、被せ物の中で最も歯とのなじみ(適合)が良好です。虫歯になりにくいクラウンの代表です。歯をまもる治療として、奥歯に適用します。
歯の色にかなり近いクラウンです。適合の精度もよく、白いクラウンで歯をまもる治療の代表です。プラークなどが付着しにくく、虫歯にもなりにくいクラウンです。
メリットとしては、プラークが付着しにくく、歯との適合性が良いため虫歯になりにくいことが利点として挙げられます。また、天然歯に近い色合いですので、前歯の治療へも用いられ高い審美性が特徴です。
デメリットは、治療期間が健康保険内治療と比べて長いことです。精密な治療になりますので、1本の歯を残す治療は時間を要します。
金属のクラウンの大きなメリットは、頑丈であることです。硬いものを噛んでもセラミックと違いわれることがほとんどありません。
デメリットとして共通することは、歯の色ではないため審美性には劣ります。
銀歯と金歯を比較した、金歯のメリットは虫歯になりにくいことです。銀歯は歯との境目に段差ができやすくそこから虫歯になり、再治療が多くなります。それに比べ金歯は、歯との境目に段差がほとんどできません。そのため、歯の再治療が極端に少ないクラウンです。特に一番奥歯や見えにくい上の奥歯に適用することが多いです。
クラウン自体の強度と審美性が異なります。セラミッククラウンは金属クラウンと比べると割れやすいです。
セラミッククラウンは銀歯と比べると歯を長持ちさせる治療になります。金歯はセラミッククラウンと同様に歯を長持ちする治療です。
近年セラミッククラウンと同じ用途で使用されるようになりました。
セラミッククラウンより強度が強いクラウンです。インプラントの構造で歯の部分はこのジルコニアがメインで使用されています。
強度があるため、セラミッククラウンでは割れてしまうような歯にも治療が可能です。また前歯など審美性の要求が高い場所へも応用が可能です。
クラウンを長持ちさせるのはお口の中の定期的なプロフェッショナルケア(PMTC)やご自宅での歯ブラシやフロス(歯間ブラシも含む)がとても重要です。虫歯になりにくいセラミックやゴールドのクラウン治療を行った後、ケアがしっかりと行き届かない場合は虫歯になります。お口の中を綺麗に保つことがクラウンの長持ちにつながります。当院では、お口の中を綺麗に保つ環境が整った上で、再度虫歯にならないように精密なクラウン治療を行います。
今回は精密なクラウン治療とした、セラミックと金歯の場合の回数と期間をお伝えします。最低の治療回数は3回です。また治療の期間は約1ヶ月〜1ヶ月半を要します。精密なクラウン治療は短期間では終わりません。よりご自分の歯として長持ちさせるためにも、細部まで精密な治療が必要なため前述した期間が最低でも必要となります。
クラウンは歯に歯科用の材料にてくっつけます。取り外しはできません。しかし、クラウンも年数や噛み合わせ、粘着性の高いものを食べた際に外れることがあります。外れてしまった場合、クラウンと歯に問題がなければ再度くっつけ直すことができます。外れた際に虫歯が認められた場合には再度クラウン治療が必要です。
それは診断です。クラウン治療は少なからず歯を削ります。そのため必要以上に歯を削ってしまうと逆に歯の寿命を縮めることにつながりかねません。そのため、治療前の診断が重要です。レントゲンなどで精査し、必要に応じてクラウン治療に移行することが望ましいです。仮に、虫歯などで削る必要が少ない場合は、部分的な詰め物であるインレーで処置することが望ましいです。処置の前に正確に診断をし、歯科医と相談の上、治療を決定することが大切です。
昔から使われている銀歯は合金のため少しずつではありますが、体内に溶け出しております。長期に渡り、身体に留まることで金属アレルギーを発する場合もございます。お口の中に金属を用いない、セラミック治療も近年需要が高まってきています。
痛みを伴う恐れがある場合は局所麻酔を行なってから、処置を開始します。また、歯の神経(歯髄)が残っている場合には必ず麻酔を行います。根管治療をした歯に関しては、痛みを感じることがありませんので局所麻酔を行わないことが多いです。歯髄が残っている歯にクラウン治療をする場合、麻酔がきれた後に少ししみる感覚が出ることがあります。しかし、クラウンが歯にくっつくと基本的にはしみる感覚は治ります。
クラウン治療は、ものを食べる機能回復・審美性の回復・噛めるようになるとことでの健康の増進に寄与します。歯を失ってしまう原因の大きな一つである虫歯も、早期発見・早期治療により歯の寿命の延伸につながります。的確な診断を受けた上でのクラウン治療はご自分の歯をまもる大切な治療方法です。クラウン治療でお困りのう方は一度ご相談ください。今回も最後までお読みいただきありがとうございました。また皆さまに歯科治療に関する情報を提供してまいります。