【MTA薬剤で歯の再生をサポートします】
意図的再植とは、歯を一度抜歯してから必要な治療を行い、その後歯を元の位置に戻す治療法です。根尖病変や根管治療が困難な歯に対して適用されることが多く、歯の保存を目的としています。
当院では、意図的再植の際にMTA(ミネラルトリオキサイドアグリゲート)という薬剤を用いて根の先を塞ぐ方法を採用しています。この方法により、歯の保存と再植後の安定性が向上し、長期的に成功率が高くなります。
MTAは、セメント質と似た性質を持ち、高い生体親和性と密着性を誇る薬剤です。根の先に隙間なく詰めることができるため、細菌の侵入を徹底的に防ぎます。また、MTAは生体組織に対して刺激が少なく、抗炎症作用もあります。これらの特徴から、意図的再植における根の先の封鎖材として有効な薬剤と認められています。
意図的再植とは歯を一度抜歯し、根の先端を切除して薬剤を詰め、元の位置に戻すという治療法です。 根管治療を精密に行ったにも関わらず、症状が改善されない場合に実施されることが多いです。
意図的再植は歯根膜の状態によって成功率が左右されるため、医師の高度な技術が必要になります。歯根膜が乾燥すると細胞が死滅するため、抜歯後は約17分以内と迅速に処置を進める必要があります。また、歯根膜を傷つけずに抜歯する必要があるため、かなり時間をかけて抜歯を行います。
ただし、歯根の形状が複雑で抜歯が難しい場合や、抜歯中に歯が破損するリスクがある場合は、意図的再植は適用されません。
歯牙移植は、他の箇所から抜歯された歯(ドナー歯)を、欠損部位に移植する手術です。歯牙移植は、虫歯や事故などで抜歯が必要になった際に、自分の歯を使って歯を再生します。
一般的に親知らずが用いられますが、抜歯しても噛み合わせなどに影響がでない歯が選ばれることもあります。
【再植】
再植は歯を一度抜歯し、その後同じ歯を元の位置に戻す治療法です。歯の保存を目的として行われ、根管治療では改善できない症例に適用されます。抜歯後、歯根部の病変切除など必要な治療が行われたあと、歯を元の位置に再度埋め込みます。
【移植】
移植は他の箇所から抜歯された歯(ドナー歯)を、欠損部位に移植する手術です。虫歯や歯周病、事故などで失われた歯の再生を目的としています。適切な大きさや形状の歯を選び、欠損部位に適合させるための調整を行った上で、埋め込みます。主に、ドナー歯は親知らずを使用します。
歯根膜は、歯を支える役割を持ち、歯と歯槽骨の間に存在します。歯根膜が健康な状態であることが、意図的再植の成功にとって非常に重要です。歯をしっかりと固定させるためには、歯根膜が残っていることが絶対条件です。さらに、損傷や汚染が少ないほど手術の成功率は高くなります。
意図的再植を行う場合は、歯根膜の状態を慎重に評価します。
当院では、患者さまに最適な治療を提供するため、意図的再植に関する注意点を十分に把握し、患者さまにも理解していただくことを大切にしています。
意図的再植の成功には、歯根膜が健康な状態であることが非常に重要です。歯根膜が乾燥したり傷ついたりすると、再植した歯がうまく定着しない可能性があります。そのため、以下の注意点を念頭に置いて治療を進めます。
歯根膜の乾燥を防ぐ
抜歯後、歯根膜が乾燥しないよう、保存液で湿らせたガーゼで保湿を行います。また、抜歯と再植の間の時間を最小限に抑えることで、歯根膜の乾燥リスクを減らします。
歯根膜を傷つけない
抜歯時に歯根膜を傷つけないよう、細心の注意を払って抜歯を行います。また、必要に応じて繊細な器具を用いることで、歯根膜を保護します。
当院では、意図的再植の注意点に関して十分な知識と技術を持って対応しております。患者さまには、治療前にこれらの注意点について十分に説明し、安心して治療を受けられるようサポートいたします。
歯根が折れた
歯根が折れてしまった場合、通常は抜歯が必要となりますが、患者さまが歯を保持したいと希望する場合、意図的再植が適用されることがあります。歯を一度抜いて、折れた部分を歯科用の接着剤で修復した後、元の位置に戻します。
歯根に穴が開いた
歯根に穴が開き、感染が骨に広がってしまった場合、通常の根管治療では修復が困難なことが多いです。そこで、歯を一度抜いて特殊な材料で穴を修復し、歯を再び元の位置に戻します。
根管治療が困難
通常、根管治療は歯の内部から行われますが、内部からのアプローチが不可能な場合に、意図的再植が行われることがあります。この治療では、歯を一度抜いて、根管の先端の病変を除去し、根管充填材という薬剤で歯根を封鎖します。その後、歯を元の位置に戻すことで、治療を完了させます。
診断と適用判断 |
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患者さまの歯の状態を詳しく診断し、意図的再植が適切な治療法であるか判断します。歯根膜の状態や患者さまの全身状態などを考慮し、最善の治療方法を提案いたします。 |
抜歯 |
患者さまの歯を痛みを抑えるために麻酔を行い、歯根膜を傷つけないように注意しながら抜歯します。抜歯後は、歯根膜が乾燥しないよう保存液で湿らせたガーゼで保湿を行います。 |
歯の外科処置 |
抜歯した歯に対して、必要に応じて外科処置を行います。例えば、根尖切除術を行って歯根の先端を切り、MTA(ミネラルトライオキサイドアグリゲート)という薬剤で根尖を塞ぎます。 |
再植 |
歯を抜歯した部位を洗浄し、外科処置が完了した歯を戻します。 |
固定 |
再植した歯を固定するために、縫合糸や歯科用の接着剤を使用します。1か月ほど経過したら、安定しているかを確認して固定を除去します。 |
被せ物を装着する |
術後2〜3か月ほど経過したら、被せ物を装着します。 |
意図的再植は、局所麻酔を使用して行われるため、手術中は痛みを感じることはほとんどありません。麻酔が切れた後に軽い痛みや腫れが生じることがありますが、痛み止めや抗生剤の使用で症状は緩和されます。
再植手術が成功した場合、歯の噛み合わせや見た目は元の状態に近くなります。ただし、歯の状態や治療後のケアによっては、微妙な違いが出ることがあります。治療前と同様の噛み合わせや見た目を目指すため、治療後は指示通りにケアを行ってください。
再植後の歯のケアには、適切なブラッシングやフロスを使用して、お口の中を清潔に維持することが重要です。手術後は傷口を刺激しないために、一時的に歯磨きや食事の制限があります。手術の成功率を高めるためにも医師の指示は必ず守ってください。また、被せ物を装着したあとも定期的に歯科検診を受け、状態の確認やメンテナンスを行うようにしましょう。
意図的再植の成功率は、患者さまの状況や歯の状態、手術の技術、術後のケアなどによって異なります。一般的には、70%〜90%程度の成功率が報告されています。