COLUMN
2024年6月28日
こんにちは、東京神楽坂歯科院長の菊地です。本日は歯髄温存療法(VPT:Vital Pulp Therapy)についてお話をします。
歯髄温存療法は、歯髄を残す治療方法です。う蝕処置中に神経が見えてしまった場合に、従来の治療方法は神経を取り除く治療(抜髄)が行われていました。しかし、抜髄せずに神経を残すことができる治療が、この歯髄温存療法(VPT)です。
歯髄の役割は感覚受容と歯の形成です。まず感覚受容とは冷たいものや虫歯による刺激を感知し、危険信号として知らせてくれる役割があります。また、虫歯が進行した際に第三象牙質といい、虫歯が歯髄に到達しにくように歯を歯髄側から形成してくれる機能も有しています。
術前の検査、自覚症状の有無、レントゲン所見などを複合的に考慮をして、診断をします。必ずしも歯髄温存療法が全ての症例に適用するわけでありません。場合によって歯髄を取り除く抜髄が望ましい症例もあります。歯髄を残すことが正しいわけでなく、仮に歯髄を除去してもその歯を抜かずに治すことが重要です。
従来の歯髄治療ですと、基本的に歯髄を取り除く抜髄治療が主でした。しかし、歯科治療の技術及び治療材料の進歩により、本来取り除かなくて良い神経が残せるようになりました。
治療する歯の症状の経過、歯髄の機能が正常かの検査、レントゲン所見など複合的に検査をして、歯髄温存治療が適応かどうか正確に診断をします。
治療に先だち、歯及び歯肉の周囲に付着した歯垢を除去します。その理由は、歯垢は細菌です、歯髄温存療法行う際に健康な歯髄が一部露出した際に細菌が感染しないように除去をしておくことで歯髄温存の成功に繋がります。
治療後3~6ヶ月に一度レントゲンを撮影し、経過を確認します。
歯髄温存療法の場合、最終的にはインレーという部分的に詰め物をすることが多いです。抜髄で神経を取り除いた歯に関しては、クラウンと言って全体的に被せ物をする治療が選択されることが多く、歯を削る量が増えます。
痛みや不快感は治療中に局所麻酔をしているため、ほとんどありません。しかし、術後経過麻酔が覚めてから違和感は2~3日ほど続く場合もあります。
歯髄に付近まで及んだ虫歯で、自覚症状として痛みがなく、神経が検査で正常である場合に適用になります。
前歯をぶつけたなど、歯が欠けて歯髄が露出した場合も適用になることがあります。外傷後すぐに歯科へすることがとても重要です。
年齢、歯髄の症状、治療の精度(ラバーダムなど感染防御の有無)、複合的に術後の歯髄温存の成功率に影響すると言えます。
歯髄の状態なで適用になるか、正確な診査・診断が必要です。
歯髄温存療法は基本的に自由診療です。
現在虫歯を有する方が少なくなってきていますが、知らぬまに銀歯の下で虫歯になっているなど不測の事態で虫歯が見つかることが多いです。歯髄温存療法は歯を長期的に残す治療の一助になるため、適用症例であれば非常に有効な治療手段であると言えます。
的確な診査・診断のもと治療が必要です。全ての歯髄が残せるわけではなく、適切な診断のもと歯を残すために神経を除去することもあります。その治療方針に関して、十分ご納得いただいた上で治療を受けていただくことをお勧めします。
虫歯にならないような定期的なメインテナンスがとても重要です。今は歯を削らずに歯垢やステインを除去できるエアフローという機器も歯及び口腔内の健康増進に寄与すると言えます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。当院でも皆様の歯を長く残すため、最善の治療を日々ご提供できるようにこれからも努力していく所存です。また今回記載した、歯髄温存療法についてもご提供できますので、お気軽にお問いわせください。