COLUMN
2024年7月5日
1. はじめに
ラバーダムは、感染防御および防湿を目的とした歯科治療の際に用いる器具・操作の総称です。特に感染防御の観点から根管治療におけるラバーダムの有用性はとても高いです。
国内の健康保険内治療で使われることはかなり少ないです。現状では自由診療の根管治療やセラミック治療で使用されていることがほとんどです。
2. ラバーダムの利点
根管治療の際に、口腔内の細菌が根管内に入るのを防ぎます。仮に根管内に唾液(口腔内の細菌が含まれる)が入り込むと、根管治療が終わった後に、数年後痛みや腫れなどを自覚し、再度根管治療になる危険性があります。
厳密には口腔内の治療において無菌的(細菌が0の状態)で処置を行うは困難です。しかし、ラバーダムをするとしないとでは、根管治療の成功に影響します。無菌でなくとも、新たに細菌が入り込まないように、感染防御の意味合いでラバーダムはとても有用といえます。
唾液や感染物になり得る口腔なのものを、治療中に混入させないため治療の精度に効果を発揮します。
ラバーダムをすることで、治療部位への障害を排除できるため術者にとって治療の精度の向上に寄与します。
ラバーダムをすることで、口腔内に水などが流れ込むことがほとんどありません。そのため、当院でラバーダムを用いて治療を受けられ方は、治療中に眠っていただけるほどリラックスされております。
3. ラバーダムの使用方法
①根管治療
根管治療でラバーダムは欠かすことができません。
②セラミック治療
セラミックスを歯に接着する際に、唾液などの水分が混ざらないため、より歯に接着しやすくなるため、セラミックスが長持ちすることに繋がります。
③ダイレクトボンディング
虫歯治療における、精度の高い即日でできる治療です。ラバーダムを用いることで、接着の精度が高まり、セラミック治療と同様に治療の精度が向上します。
4. ラバーダムのデメリットと課題
ラバーダムを使用するにあたり、十分な治療時間を設けることが必要です。保険内治療でラバーダムが用いられない理由は、治療時間が少ないこと、また費用もかかるため適用できないことが多いです。またラバーダムを装着するにも、ある程度の技術が必要なため行わずに治療を行うことも多いと思われます。
ラバーダムは歯冠が残っていることが前提として必要です。当院では、歯冠がなくとも隔壁といい、根管治療の前に行う処置を行い、ラバーダムを用いて治療を行っています。
ラバーダム操作には歯科医師にも技術力が求められます。また、アシスタントもラバーダムの際に、機械出しなどでサポートをするため、日頃からクリニック全体でスキルアップのためのトレーニングが必要とされる技術です。
5. 結論
歯科治療において、治療を精度を高めるためにラバーダムを使用することが大切です。特に根管治療において、その有用性が大いに発揮されます。ご自分の歯を一本でも多く残し、まもる治療に今後もラバーダムは使用されると思いますし、当院でも引き続きラバーダムを用いた精密な治療をご提供いたします。
今後もラバーダムを行うことで残せる歯が増えることをねがい、日々技術力の向上を目的として研鑽したいと思います。ラバーダムでの処置に少しでも興味のある方、一度当院までお気軽にご相談ください。