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歯のコラム

COLUMN

予防歯科でよくきくPMTCってなに?

2024年9月4日

近年、歯の予防への意識が高まっている中、PMTCという言葉をよく見かけるようになりました。

PMTCとは何か?と疑問に思われている方もいらっしゃる思います。

今回はPMTCについてお話します。

PMTCは、プロフェッショナル メカニカル トゥース クリーンニング

(Professinal Mechanical Tooth Cleaning)

の略語で、歯科医師や訓練をうけた歯科衛生士によって行う機械的な歯の歯面清掃をいいます。

PMTCは予防歯科にとても欠かせないもで、その目的は、虫歯や歯周病の原因である細菌性のプラーク(以下バイオフィルム)を機械的に破壊して歯面から取り除くことです。

そしてこのPMTCを定期的に行うことでお口の中の細菌の塊を病原性の低いバイオフィルムに変えていくことができるので、健康な口腔環境を維持、継続につなげていくことができます。

バイオフィルムは歯ブラシで取れないの?と疑問に思われるとおもいますが、残念ながらバイオフィルムは歯ブラシ、歯間ブラシ、フロス、あるいは洗口剤などでは完全にとることはできません。この為PMTCを行うことが欠かせません。

皆さんは、お口の中にどれくらい菌がいると思いますか?

実は、お口の中には数千億の菌、約700種類の菌がいると言われています。

歯に付着したそれらの菌は、時間が経つとネバネバした代謝物を出します。

時間経過とともにそのネバネバした中に沢山の菌が集まって細菌の塊であるバイオフィルムが歯の周りに作られます。

バイオフィルムの中には、虫歯や歯周病を発生させる菌がいますので、歯磨きをしていても磨けていない場所は当然虫歯や歯周病になりやすい場所になります。

歯を磨いていても虫歯や歯周病になるということはそういうことなのです。

北欧のスウェーデンは予防歯科が定着しています。

スウェーデンの80歳代の平均残存は21.1本(2013年)。比べて日本はというと17本(2016年)です。

今では予防先進国であるスウェーデンですが、1960年代までは虫歯の罹患率がとても高く、年を取れば歯は悪くなるものと思われており、診療の中心が治療でした。

政府は医療費削減のため大学に依頼し、予防歯科の研究が行われました。

スウェーデンのイエテボリ大学歯学部教授のペール・アクセルソン博士は、今から50年ほど前に定期健診を規則正しく受けて、お口の中のケアのやり方を教育された患者さんは失わず歯が何本くらい残るのか?どのくらい虫歯になるのか?そしてどのくらい歯周病になるのか?という30年に渡る成人に対する長期臨床研究を行いました。

研究方法は、1972年に550名の患者さんが集められ、375人は予防したグループ、180人は予防しなかったグループに分けました。(6年後、予防しなかったグループは論理的な理由から解散されました。)

予防したグループ375人の患者さんには,ご自身のお口の中の状態をよく把握していただき、予防についても理解してもらいました。そして、3か月から12か月ごとに来院していただきました。

来院時には、歯を赤く染め出しして行うブラッシング指導(患者さんそれぞれのリスク部位に合った歯ブラシ、歯間ブラシ、フロス、トゥースピックの使い方のレクチャー)と、プロフェッショナルケアのPMTCを行いました。

その結果、30年間に失われた歯は、年齢によって差はありましたが平均0,4から1,8本で、歯の喪失原因のほとんどは歯や根の破折でした。それ以外の21本だけは虫歯と歯周病で失いました。

虫歯の発生は、年齢によって異なりますが、平均1.2本~2.1本で、虫歯の発生の80%は以前治療した歯が再びの虫歯になるという再発性の虫歯で、新しく虫歯になったところはほとんどありませんでした。

そして、歯周病の症状であるアタッチメントロス(歯周組織の破壊)はほとんど見られませんした。

アクセルソン博士は、1972年から2002年までの30年に渡るその研究で、『適切なブラッシング指導と定期的なPMTCによって97.7%の確率で患者の口腔内の健康を長期間維持することができる』という結果を発表されました。

スウェーデンではその結果をもとに国をあげて予防歯科への啓発が行われ、今では予防歯科が定着しています。

そして今、PMTCの施術は進化してきています。

従来のPMTCは、スケーラーや研磨などの清掃器具を使用することで、多少、歯や歯肉に負担がかかり、知覚過敏や歯肉の退縮などの弊害が起こることがありました。

そのような弊害を起こさないよう現在はパウダークリーニングが主流になりつつあります。

当院では、スウェーデンイエテボリ大学の予防システムを取り入れ、さらにEMS社製プロフィラキシスマスターを導入し、歯に低侵襲(歯を傷つけない)のPMTCをおこなっております。

当院で使用するEMS社製プロフィラキシスマスターは、専用の粒子の細かいパウダーを使用し、高圧エアーでスプレー噴射してパウダーポリッシングを行いながらバイオフィルム除去するので、歯や歯肉を傷つけず、痛みのない心地よいクリーニングを体感していただけます。

それでは、PMTCはどのくらいの頻度で行うのが良いのでしょうか。

PMTCを行ったあと、60~70日で細菌が増えてくる、具体的には、歯周ポケット内の歯周病原菌であるグラム陰性菌群は、処置した後12~16週で、もとの細菌叢(細菌の塊)に戻る傾向があると言われており、それらの細菌が悪影響を及ぼす前にPMTCを行うのが良いとされています。個人差はありますが3か月ごとのメンテナンスをおすすめしています。

歯は削らないが一番です。

虫歯や歯周病はお口の中にいる口腔内細菌によって起こります。

お口の中の細菌の塊であるバイオフィルムを定期的なメンテナンスでしっかり取り除き、ご自身の歯を一生守っていきましょう。

ぜひ当院のメンテナンスについてお問い合わせいただけたらと思います。

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