
COLUMN
2026年9月3日
抜歯が必要な場合は長期的な歯の予後を検査をもとに考慮したうえで、残すことでの身体的なメリットよりデメリットが上回った場合に抜歯という提案を当院では行なっております。
セカンドオピニオンは納得して治療を選択するための大切な権利です。治療方針が歯科医師によって見解が変わることもあります。
そのため、それぞれの医院(歯科医師)の方針・説明を聞いて、皆様ご自身が最終的な治療を受けるための判断に繋げていただくことが最善だと考えております。
診断は歯科医師によって変わるため、抜歯と言われても他の歯科医師の見解によって残すことができる場合があります。
代表的な例として挙げられるのは「根管治療が難しい」「大きな膿がある」「大きな虫歯がある」などです。残せる可能性があるケースについては後述します。
まず知っていただきたいのは、歯も臓器の一つということです。
臓器とは複数の組織から構成され、特定の機能を担う器官のことです。心臓や肺のように歯も臓器です。皆さんは「臓器を何度も何度も治療したい」ということはないと思います。
たとえ治療が必要な歯であっても、マイクロスコープを用いて削る量を最小限にとどめること、また精密で適切な治療をご選択いただくことで歯の寿命は長くなり、歯を抜かずにすみます。
当院では「できるだけ歯を削らずに、抜かなくて済むように」歯を残す治療を提供していきます。
ご自分の歯を残すことは、単に抜歯を避けることではなく、長期的にお口の健康を維持できることにつながります。
ご自分の歯以上のものはありません。ご自分の歯でお食事ができる感覚は、何よりもお食事を美味しく食べられることにつながります。
・大きな虫歯
大きな虫歯があっても、歯を残せる場合が多いです。大きな虫歯の場合は歯の神経(歯髄を取り除く)を除去する根管治療が必要になる場合がありますが、歯を残せることが多いです。
・根尖病変
根尖病変(根の先にできた膿)があったとしても、再度根管治療(正式は治療の呼び方としては再根管治療)を行うことで歯を残せる場合があります。一度根管治療を行なった歯について抜歯の選択しか無いと言われた場合には残せる可能性もあるため根管治療専門医院の受診を推奨します。
・歯周病
歯周病で歯がグラグラになっても歯周病の進行度に応じて残せる可能性があります。一度歯科医師にご相談ください。
・歯の破折(症例による)
歯の破折であっても、破折(歯の割れ、ひび)の範囲及び感染が残せる、残せないことに大きく影響します。歯の破折の診断を受けても残せる可能性があるため、一度ご相談ください。
・CT撮影
歯科用のコーンビームCTにより、特に根管治療においては炎症の範囲、根の形態、根の管の数を正確に把握することができます。一般的な部分的なレントゲンだけではわからないことが、CTを撮影することでわかります。また「残せないと言われた歯」でもCTで原因を突き止め、歯を残すことができたケースも実際にあります。
・マイクロスコープ
拡大視野下での精密な治療や診断にとても有用です。当院では常にマイクロスコープを用いて、精密な診査・診断、そして治療につなげております。また、見えない部分を確認する重要性として、マイクロスコープで映像として記録し、皆様に詳細をお伝えしています。
・ラバーダム防湿
ラバーダム防湿は根管治療で主に用いられる処置で、治療の歯への菌の流入を防ぐことで、治療の精度を高めるために用います。国内では自由診療で使われることがほとんどです。
・マイクロスコープ
拡大視野下で処置をするために、最大倍率約25倍まで拡大して治療が行うことができます。特に根管治療においては1mmにも満たない箇所の処置が必要とされることがあるため、現代の根管治療においてはなくてはならない歯科用機器です。
・NiTiファイル
歯の神経が入っている管(根管)を綺麗にする専用の機械です。使用するにあたってはコンピュータ制御で正確にNiTiファイルを回転させる機器を取り付けて用います。NiTiファイルの登場により、根管内を迅速に綺麗にすることが可能となりました。
・MTAなどの材料
MTAは根管治療で歯髄の代わりとして根管内に入れる最終的な材料です。根管内で固まり、膨張する特性を活かして最近が入ってこないように隙間を埋めてくれる材料です。
・痛くなる前の受診
予防歯科にもつながる考え方で、痛くなってから治療するのではなく、定期的に歯の歯垢(しこう、プラークとも呼ぶ)をとる治療を受けることで、歯周病、虫歯を予防することが大切です。
・定期検診
定期的なレントゲンの撮影、歯垢の除去を行うことを推奨します。
・セルフケア
ご自宅での歯ブラシ、歯と歯の間のフロスや歯間ブラシでのケアを推奨されます。
・噛み合わせへの配慮
噛み合わせに合わせてのセルフケアも必要になるため、歯科衛生士によるプロフェッショナルケアとご自宅でのセルフケアの方法を説明いたします。
・保存が難しいケース
特に歯を残すことが難しいのは歯が縦に割れてしまっているケースです。また重度の歯周病に感染し、揺れが大きくなった歯も進行度に応じて抜歯が適用になることがあります。
・無理に残すリスク
本来抜歯が望ましい歯を残すリスクとして、感染による痛みの悪化、大きく腫れることがあります。歯性上顎洞炎や蜂窩織炎などの合併症につながるリスクもあります。
・抜歯をおすすめする理由
身体への感染を防止するため、また咀嚼機能を回復するために抜歯が推奨されます。
・保険診療と自由診療
自由診療は保険診療とは別に、より良い治療を行うための歯科材料の幅が広がります。治療の選択肢も広がるため、保険診療では抜歯と言われた歯でも自由診療では残すことができる場合も少なくありません。
・設備の違い
クリニックにより設備の違いはあります。特にマイクロスコープやCTなどは、全ての歯科医院に備えられている訳ではありません。
・治療時間の違い
歯科医師の技量により多少の治療時間に違いはあるかも知れません。しかし、歯を残す精密な治療を行うことは、20〜30分でできることではありません。さまざまな配慮を行なって治療をすることは私は最低でも一回の処置は1時間を要すると考えています。
・歯科医師の経験や専門性
歯科のという診療科の中にも、口腔外科、小児科、矯正科、一般歯科で別れます。さらに細かく分けると一般歯科の中に、根管治療専門、被せ物の治療専門、入れ歯治療の専門など分かれます。歯科医師の中にもより専門性の高い診療分野がありますので、それを踏まえて歯科医院を選択することをお勧めします。
上記の通り、1本の歯の治療から全ての歯の治療まで、それぞれオーダーメイドで治療計画を考える必要があります。その場ですぐ治療ではなく、ご自分の歯を残すためにもしっかりとした説明のもと、ご納得いただいて治療に介入することを当院の方針とさせていただいております。
歯科治療において上記のような、「抜歯が必要と言われた」、「歯が残せない」などの説明を受けられてもまだ残せる歯かも知れません。些細なことでも構いません、疑問に感じましたら一度当院にご相談ください。