COLUMN
2023年10月13日
こんにちは、院長の菊地です。今回は歯周病のついてご説明いたします。歯周病とむし歯が歯を失う二大疾患です。この病態はどちらもお口の中の菌が原因による感染症です。生活習慣も大きく関わる疾患です。ぜひ歯周病にについて、以下ご参照くださいませ。
歯周病は感染症です。大きく分類すると歯周病には歯肉炎と歯周炎があります。歯肉炎は歯茎だけ炎症が認められます。その歯肉炎が悪化すると歯周炎に進行します。歯周炎は歯茎だけでなく、歯を支える歯周組織(歯槽骨・セメント質・歯根膜)までも炎症で壊してしまう病気です。初めは歯茎の出血、歯が揺れるなどの自覚症状が現れます。末期の状態では歯が抜け落ちてしまう恐ろしい病気です。
歯周病の原因は、細菌(プラーク)です。口腔内には数多くの常在菌が存在します。その中には歯周病原菌も含まれます。歯周病原菌の中でもPorhyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジヴァリス PG菌)が有名です。このPG菌などが歯茎の周りプラークとして蓄積され続けると、歯周病が進行します。
歯周病原菌が生産する毒素により、歯周組織が破壊されます。破壊により歯と歯茎の付着が壊され、細菌が歯肉溝に入り込んでいきます。歯肉溝の付着が破壊されると、溝が深くなり歯周ポケットを形成します。
冒頭でもお伝えした通り、歯周病は細菌による感染症です。その細菌が歯茎から体の中に入ってくる際に生じる際に、血管内の細胞(免疫細胞)がその細菌の侵入を防ぐために起こるのが炎症です。
歯茎の歯周ポケットの深さ、レントゲン所見、喫煙の有無などを複合的に診査をして、歯周病の進行度合い及び診断を行います。
歯周ポケットの深さ、歯槽骨(レントゲン検査による)の状況など検査して進行の段階を検査します。プロービングといい、歯周ポケットの深さを検査することで、歯周病の進行の段階を診断することができます。またプロービング以外に進行の段階に影響することとして喫煙も含まれます。
歯周病には歯肉炎と歯周炎が含まれます。歯肉炎は歯肉にのみ炎症が起きています。歯肉炎が進行すると歯周炎に移行します。歯周炎は歯肉のみならず、歯槽骨(歯を支える骨)、歯根膜などの歯の支えとなる重要な組織を炎症により壊している状態です。歯周炎は歯肉炎よりも炎症が進行していますので、専門の治療が必要です。
歯肉炎は歯茎の腫れや歯茎が赤いのが特徴です。症状として、歯ブラシの際に出血をするなどの訴えが多いです。また口臭がすることや歯茎から自然に出血することもあります。
歯周炎は歯肉炎の特徴に加え、歯が揺れる、食事をするときに歯が痛い、歯に隙間ができるなど症状がさまざまです。特に歯が揺れるというのが歯周炎の自覚症状としてとても多いです
歯周炎の分類は日本歯周病学会で提示されているものがございます。以前は上記のように軽度・中等度・重度のように分類されていました。現在はレントゲン所見による歯槽骨の状態・歯周ポケットの深さ、喫煙の有無などで細かく分類されております。
初期症状は歯茎の腫れ、赤み、歯が動く、口臭がするなど症状は多岐にわたります。歯が自然に抜け落ちてしまうこともあります。
歯周病との関連のある合併症について以下が挙げられます。
歯周病は歯茎(歯肉)と歯の境にプラーク(細菌の塊)が付着し、炎症を起こすことで進行します。初期の段階では歯肉周囲にプラークが停滞し、細菌と体の免疫細胞が働くため毛細血管が広がるため出血しやすくなります。歯茎の腫れは体の防衛反応でありますが、プラークを除去しない限りは炎症が落ち着きません。そのためプラークを除去することが優先されます。
歯周病の進行とともに歯を支えている歯槽骨が炎症で失われ、それに伴い歯が揺れ始めます。また歯が炎症で動くため歯と歯の間に隙間ができることもあります。
歯周病の進行に伴い、口臭も発生します。歯と歯茎の周りにプラークが付着し、歯周病特有の臭いが発生します。歯周病原菌の出すメチルメルカプタンが特有の臭いになります。もちろん、歯周病由来の口臭ではない場合もありますので、その際は当院までご相談ください。
歯周病は全身の健康に大きな関わりがあります。特に代表的なのは糖尿病との関わりです。糖尿病の方で歯周病に罹患している場合、糖尿病を悪化させると言われております。逆に糖尿病の方がしっかりと歯周病の治療を行えば、ヘモグロビンA1cの数値が下がったとの報告もあります。
また、歯周病は妊婦の早産へも影響するなど歯周病の全身との関わりが重要視されてきています。
歯周病は心臓病へも影響します。心臓にある血液の逆流を防ぐ弁などに菌が付着し炎症を起こす、細菌性心内膜炎などがあります。この菌の由来は、口腔内の細菌で、歯周病で出血をしたところに菌が入り込み血流にのって心臓に到達するという報告がります。お口の中の細菌を減らす歯周病治療は、心臓病の予防にもつながると言えます。
予防方法はご自宅での適切な歯ブラシ・フロスになどによる口腔ケアと歯科医院での定期的な歯周病治療が、予防につながります。現在予防歯科を耳にする方も多いと思います。病気になる前に、未然に防ぐことが歯科においてもとても大切な考え方になっております。ご自分での歯ブラシの使用方法も当院で、歯周病認定衛生士による説明を行っております。また3~4ヶ月に一度の口腔ケアを行うことで、適切に細菌除去をすることができ、歯周病の予防につながります。
口腔衛生とはお口の中の健康を保つことです。前述した通り、定期的な歯科医院でのケアを行うことで、ご自分の歯を永く、残すことにつながります。
正しい歯磨き及びデンタルフロスの使用方法は独学は困難です。当院に常駐しております日本歯周病学会認定歯科衛生士による丁寧な説明を行っております。
当院でも定期的な検診及び歯周病ケアを推奨しております。おおよそ3ヶ月に一度がプラークの付着を抑えられます。
歯周病治療においては禁煙を目標とします。タバコは歯周病を悪化させます。組織を修復するための毛細血管の血流の流れを阻害するため、歯周病の治りがとても悪くなります。
全身的な健康を重要視するため、日々のお食事は歯周病治療の観点からもバランスの取れた食事を推奨しております。
歯周病の治療についてお話しします。
歯周病の治療は初期治療から始まります。口腔清掃の方法の確認、歯石除去をし場合によって手術が必要です。手術後、治りを見てメインテナンスへ移行します。
歯根の表面についた病原性の歯石を専門の機械を使用して、取り除く治療です。歯周病は進行した方の歯根には、縁下歯石という病原性の歯石が付着していることが多いです。
歯周病の基本治療が終了後に、歯茎の評価を行います。深いし主ポケットが治らずに残っている場合はフラップ手術などを行います。また骨を一緒に治す再生療法も併用して行う場合もあります。手術後は歯茎及び歯周ポケットなどの改善が認められますと、メインテナンスへ移行します。
ここまで歯周病治療について、お話ししました。日頃の口腔ケアが今ある歯を残すことにつながります。本文書をお読みいただきありがとうございました。お口の中でお困りの方は一度当院にご相談くださいませ。
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