COLUMN
2024年5月31日
こんにちは、院長の菊地です。今回は「インプラント治療を考える前に!」というタイトルで、インプラント治療ではなく、他の治療の選択肢があります。もちろん、インプラント治療は確立された治療です。今回私がご紹介するのは自分の歯を残し、活かす治療方法です。皆さまのお口の健康やお困りの方の一助になれば幸いです。
インプラント治療は、歯が失われてしまった場所(上下顎の歯槽骨)に人工的な歯根(インプラント体)を埋め込む治療方法です。最終的にインプラント体に被せ物(ジルコニアクラウン)などをネジなどで止めて、人工的な歯として噛む機能や前歯であれば審美性を回復する治療方法です。
歯科医院でも日常的な臨床の中で、幅広く用いられており、ご自分の歯と同等に咀嚼機能(ものを噛む機能)を回復することが可能です。現在、歯を失った後に用いられる代表的な治療です。
上記のように、インプラント治療には利点・欠点が存在します。ご自分の生活習慣に合わせて、治療方法の説明や方針を歯科医師と相談して決定することをおすすめします。
ここからは当院のコンセプトとして謳っている、「ご自分の歯を残す」という観点からお話したいと思います。また私自身、ご自分の歯を残す以上に素晴らしいことはないとおもっています。またご自分の歯を活かして、咀嚼機能を回復することを使命として日々治療をおこなっています。
セカンドオピニオンで多いケースの一つです。他院で、治療を予定している歯が残せないため抜歯をしてインプラントを提案される場合です。抜歯と診断された歯を残せる可能性もあります。抜歯をしなくても良いケースは様々ですが、歯の根の先に膿が溜まる根尖性歯周炎であれば、根管治療により歯を残すことができることも多いです。一度根管治療を専門に行なっているクリニックへご相談いただくこともお勧めします。
抜歯と言われた歯も、根管治療で残すことができることもあります。歯の状態をレントゲンなどで精査をします。根の先にたまっている膿を、適切な根管治療をすることで取り除き、歯を治療することも可能です。根管治療が適用にならない場合は、歯科医師と相談の上、インプラント治療や義歯の治療に移行します。
根管治療も適用にならず、歯を抜かなくてはいけない場合です。親知らずが残っていれば、歯を抜いた場所に親知らずを移植できるケースがあります。移植ができるケースは基本的に親知らずが移植されます。親知らずのない場合は基本的に適用にならないこと、状態の悪い親知らず(横を向いている、歯周病に罹患している
などは)は移植歯として用いることができません。
根管治療は大きく分けて二つ分かれます。一つは虫歯などで、歯髄炎や歯髄壊死により根管治療が必要な場合です。もう一つは既に根管治療(再根管治療)がされた歯に、改めて膿が形成され治療が必要になるケースです。当院での処置においても再根管治療で来院される方が約7割です。はじめの根管治療が、歯を残すのに影響します。再根管治療でも治らないケースや歯の割れ(破折)が見つかり、抜歯をすることも少なくありません。根管治療の回数は3~5回ほどです。根管治療の際はラバーダムを行い、感染防御をしながらの処置をすることで治療の精度が向上し、歯を残すことにつながります。また他院で根管治療が難しいと言われた歯に関しても、根管治療を専門で行なっているクリニックで残すことができるかもしれません。ご自分で治療方針に納得いくまで説明をうけ、治療をすることをお勧めします。
歯の移植のトータルの治療期間としては約6ヶ月です。歯の移植は一日で手術ができます。その後はが移植した場所で安定するまで約1ヶ月かかります。その後、移植した歯の根管治療を行い、また数ヶ月経過観察をします。最終的に、移植した歯に精密な被せ物(セラミックス)の処置をします。インプラント治療とは違い、ご自分の歯を使うことに大きな意義があります。移植した歯は約5~10年安定して持ちます。それ以上の期間持っているケースもあります。仮に、移植した歯が抜けてしまった場合は、その時にインプラント治療にするか、ブリッジ治療、入れ歯の治療に移行することになります。
歯の移植は、ご自分の歯を使って噛む機能を回復できる素晴らしい治療方法です。歯科治療も日々発展し、治療方法がいくつもあります。もちろん、インプラント治療も食事をする上で必要な治療で、確立された治療です。様々な治療の選択肢がある中で、迷われている方はご自分のお体のことですので、納得いくまで説明を受けて、その上での治療を選択することをお勧めします。
当院でもみなさま一人一人に合わせて、ベストな治療を今後もご提供できるよう努めます。些細なことでも構いません、お気軽にご相談くださいませ。今回も最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも、みなさまに有益でお役立ていただけると幸いです。